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議会報告 

令和元年11月定例議会 一般質問

公明党文京区議団
代表質問 
田中 かすみ

QQ 質問

災害対策とまちづくりについて

 はじめに、災害対策とまちづくりについて伺います。

 このたびの台風15号を始め、一連の災害によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますと共に、被災者の方々に心よりお見舞い申し上げます。
 千葉県を中心に甚大な被害の爪痕を残し、被災地では長期停電や断水被害、家屋の損害など、不自由で過酷な生活を強いられました。

 公明党は、被災直後から、地方議員と国会議員が現場を調査して被害実態を把握する一方、政府に対して被災自治体が財政面で心配せず、復旧に取り組めるよう、激甚災害への指定を主張、19号は、熊本地震に続き水害では初の激甚災害の指定が決定され、11月1日から施行されております。私自身も、開設した避難所のうち、第六中学校と文林中学校に駆けつけ、現場の声を伺いました。その中で改善の必要を感じた点をいくつか質問いたします。

 はじめに避難所について伺います。

 70代女性の方は、避難警報が出されたものの、悩んだ挙句、雨も風も強くなり始めた夕方から避難を始め、到着した頃にはかなり濡れてしまい着替えが足りなかった、わかめご飯やお湯も、気が引けたが、「ほしい」と申し出たら、いただくことができた、声がけなどなくさみしい感じがした、いい経験になった、職員の方に感謝したいと言っていました。
 一方職員の方からは、適当なタオルがなく提供できなかった、との声も聞かれ、水害時に必要な備蓄品の見直しや避難者に対し、職員の声がけや配慮等、対応力の向上がなされると、よりストレスのない避難所になると感じました。今回の経験を受け避難所運営について見直す点など検討していることについて、伺います。

 続いて、災害情報の伝達手段のあり方について伺います。

 千葉に住む高齢のご夫婦から伺いましたが、一切、避難情報など分からず、ひたすら天気が収まるのを待った、停電でクーラーも効かない蒸し風呂のようなところで熱中症寸前だったそうです。二人は、耳が遠く防災無線も聞こえず、携帯やスマホも持っていないので、メールも届きません。停電や断水が続く中、在宅避難者に対する情報提供は、こう言った高齢者や障害者などにも、確実に届ける必要があると痛感します。この点は、以前より指摘させていただいてきましたが、今回の重点施策でその課題解決が一歩図られると伺い、高く評価しています。どのような効果が期待されるか区の見解を伺います。

 今回の台風19号では、区のホームページ、SNS、文の京安心・防災メール、Lアラート、CATV、エリアメールなど多様な手段で伝えていただきました。又、要望していた外国人向けの多言語化した災害情報など新たな取り組みをしていただき、成果があった一方で、区民からは、気象庁や区の防災ページなど複数の情報を取る必要があり、情報の一元化を望む声がありました。
 又、「自分の地域は、どんな被害が想定され、どんな準備をすればいいのかわからなかった」といった、地域に応じた個別情報を求める声もありました。こういった区民の声を区はどのように対応していくお考えでしょうか。

 例えば、本区は、12 日 10 時 00 分に土砂災害警戒区域等の地域に対し、「警戒レベル3 避難準備・高齢者等避難開始」を発令したエリアメールは、該当する100箇所の区域を含む、文京区全域に発信されたので、「自分は対象者なのか」との問い合わせが殺到。職員が1、2時間電話対応に追われたと伺いました。
 今後は、こうした情報の問い合わせや事前の周知に、AIのチャットボットなど自動応答システムを活用し、職員が業務に専念できるよう、環境を整えることは最優先課題と考えます。
 災害情報の発信の一元化、地域に応じた個別情報が受け取れるシステムを構築してほしいと考えます。区の見解を伺います。

 また、今回の台風は、大風も特徴の一つでした。最大瞬間風速は41mでしたが、水害だけでなく、風対策も考慮するならば、現在指定された避難所の無い千石方面などで避難所を増やすことを検討して欲しいと言った声もありますが、区の見解を伺います。

 赤ちゃんの命を災害から守る取り組みについても伺います。

 本区には、3・11の東日本大震災後、おなかの中の赤ちゃんを守るプロジェクトが作られ、自治体初の「妊産婦・乳児救護所」が4大学に設置され、全国に広がりました。
 一部開設訓練が行われていますが、4箇所全ての訓練の実施と開設キッドの設置を要望します。さらに、我が党が推進してきた「液体ミルク」について、4箇所の救護所へ備えられることが決まっています。また、熊本地震の際には、保育所などに液体ミルクが無償で提供されましたが、本区の保育所にも備えていただきたいと要望します。また、課題となっているローリングストックについては、必要としている施設で活用してはどうかと考えますが、区の見解をそれぞれお聞かせください。

 この項の最後に、災害に強い町づくりのための無電柱化の促進について伺います。

 台風15号の強風で大きな被害を受けた千葉県のように多くの電柱が倒壊し、停電が続く原因となりましたが、文京区で同じ状況にならないように、無電柱化を促進する必要があると思います。ネックとなっている、コスト、電力会社等との調整、トランス設置など、課題は複数ありますが、まずできるところから推進して頂きたいとする、我が会派と合致する、今回の重点施策「無電柱化整備を進めるための基礎調査を行う」事業を評価しています。今後の取り組みをお聞かせください。又、現在国でも議論が行われておりますが、高コストから低コストの工事方法に変更すること等無電柱化を促進するための研究も進めて欲しいと考えます。区の見解を伺います。

AA 答弁

区長  田中香澄議員のご質問にお答えいたします。

 最初に、災害対策とまちづくりに関するご質問にお答えします。

 まず、避難所運営についてのお尋ねですが、台風19号の避難所開設に従事した職員から意見を集約したところ、避難時に水や食糧などの物資等を持参されない方や、土砂災害警戒区域等の居住者以外の方の避難等があったことがわかりました。
 いつ起こるか予測できない震災等とは異なり、今回のように予報等で被害が想定できる風水害の場合は、避難までの時間的猶予があることから、避難時に持参する物資等についての考え方の整理や、風水害特有の避難行動及び事前の備えについての区民への周知、避難所における要配慮者への対応などの必要性を認識したところです。
 今後、職員を対象とした避難所運営訓練等で対応力の向上を図るとともに、風水害時における区民への避難行動等の周知等を行ってまいります。

 次に、災害時の情報伝達手段についてのお尋ねですが、区では、ホームページやSNS、文の京安心・防災メール、緊急速報メール等、状況に応じた、様々な情報発信手段を整備してまいりました。
 今後も、必要な方へ確実な情報伝達ができるよう、避難行動要支援者に対する緊急情報一斉伝達システムを導入し、更なる情報発信手段の多様化を図ってまいります。

 次に、災害情報の一元化等についてのお尋ねですが、迅速で的確な情報発信を行うために、ICTを活用して気象情報や鉄道等の情報を取り込むなど、「防災アプリ」や「防災ホームページ」を含めた「災害情報システム」の再構築に取り組んでまいります。
 また、平常時からの各種防災情報の発信を含め、地域に応じた情報提供ができるよう検討してまいります。

 次に、避難所の増設についてのお尋ねですが、本年9月の第二次土砂災害警戒区域等の指定や、台風19号対応における課題等を踏まえ、現在、「水害・土砂災害対策実施要領」や「避難所運営ガイドライン」の改定を検討しております。
 避難所の増設については、改定の中で検討してまいります。

 次に、妊産婦・乳児救護所についてのお尋ねですが、発災後の初動対応や円滑な運営を図れるよう、避難所開設キットを導入してまいります。
 また、関係団体との会議などの機会を捉え、避難所開設キットや昨年度に策定した「妊産婦・乳児救護所設置・運営ガイドライン」を活用した訓練の実施を呼びかけてまいります。

 次に、液体ミルクの備蓄と活用についてのお尋ねですが、防災備蓄品として、本年度中に導入を予定している液体ミルクについては、内閣府及び厚生労働省の事務連絡等を参考に、保育所での活用等を含めて検討してまいります。

 次に、無電柱化についてのお尋ねですが、国や都において、緊急輸送道路の無電柱化が進められており、区においても「無電柱化推進計画」に基づき、緊急輸送道路である「日医大つつじ通り」の無電柱化事業を進めているところです。
 しかしながら、これら無電柱化された緊急輸送道路から避難所等までのラストマイルとなる「緊急道路障害物除去路線」については、幅員が狭い道路が多く、無電柱化が困難な状況のため、災害時に避難等ができないリスクが潜在しています。
 このため、「緊急道路障害物除去路線」のうち、短区間の路線については、避難所等の公共施設内への地上機器設置や、電線共同溝方式以外の手法を活用することにより、短期間で無電柱化できる可能性があることから、来年度より基礎調査等を実施してまいります。
 また、現在事業を進めている「日医大つつじ通り」と「巻石通り」については、新技術である浅層埋設や新材料の利用などの低コスト手法を採用しております。
 今後も、新技術や先進事例を積極的に取り入れることで、コスト削減や工期短縮に努めてまいります。
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