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議会報告 

令和4年6月定例会議一般質問

公明党文京区議団
代表質問 
田中 かすみ

QQ 質問

医療的ケア児の支援について

 次に医療的ケア児の支援について伺います。

 これまでも我が会派は医療的ケア児の保護者の声を区に届けてきました。課題解決には、組織横断的な連携が欠かせないため、体制強化を訴えた結果、福祉部はじめ関係機関が協議する医療的ケア支援連絡会が立ち上がり、課題の整理や改善された事業もあり、保護者から喜びの声が届いています。

 一つは日常生活用具給付事業に「自家発電装置」や「蓄電池」等が追加されたことです。これらの必要性は特に災害時の安心につながる、と保護者からの訴えがありましたが、迅速に対応していただけたことは、医ケア児のみならず全ての障害者に喜ばれました。広く活用していただけるよう、周知の取り組みと実績を伺います。


 もう一つ改善されたのは、在宅レスパイト事業の利用についてです。保護者からは月単位の利用設定ではなく1年間で自由に使えるようにしてほしい、とのことでしたが、これが実現し、月上限4回から年間上限96時間となりました。
 こういったきめ細やかな対応は、福祉部の伝統であり、大変心強く感じております。今後も当事者の立場に立ってニーズや困り事をスピード感を持って改善していただきたいと要望したところ、早速ニーズ調査を実施したと伺いました。この調査を今後どのように活用されるのか伺います。

 もう一つ喜ぶべきことは、着実に医ケア児の入園や入学の実績が上がっているという点です。その一方で、人工呼吸器が装着されている等の児童は、入園・入学の門戸が開かれておりません。

 また医ケア児を受け入れ可能な区内の放課後等デイサービスが現時点ではなく、また、利用を希望する方も多いことから、医ケア児が利用可能な放課後等デイサービスを作っていただきたいです。更に、余暇活動をする放課後の居場所もないので、作って欲しいとの声もあります。

 医ケア児の中で入園や入学が叶わず、放課後の居場所もない保護者は就労を諦めている実態があります。保護者はこれを「医ケア児の小1の壁」と呼んでいます。
 本区の実態とこれらの課題をどう整理しているのかを改めてお示し頂き、皆さんと共有し1日も早い改善を要望します。

 昨年、医療的ケア児支援法が制定され、東京都では医療的ケア児支援センターが設立される準備が始まったと聞いています。
 この間、東京都医療的ケア児支援関係機関連絡会では、文科省の医ケア検討会議での注目すべきポイントを次のようにあげていました。「学校での医ケアは医療的ケア児の教育面安全面で大きな意義があり、医ケアを行う・行わないという意識から、幼小中高特、それぞれの校種に応じて「どのようにやるか」という意識改革の時代へ来ている。そして保護者の付き添いについても縮減へ最善を尽くす、それは呼吸器をつけている子どもも例外ではない」と。この視点が共有され、議論されたことは、当事者にとって希望であり、目標であります。

 そこで伺います。
 この実現のため、医ケア児が安心して学校で学べるよう、保護者にも安心・安全への理解が得られるように、また学校も自信を持ってお預かりできるよう、一丸となった学校医療的ケア実施体制構築が重要です。

 本区において、人工呼吸器をつけている幼児・児童は、複数名おりますが、希望する家庭が入園・入学できるようお力添えをお願いします。
 具体的には、医師・看護師の確保、看護師の研修費用の予算化、学校医療的ケア実施体制の構築です。相談体制の強化も含め、見解を伺います。

AA 答弁

区長  次に、医療的ケア児の支援に関するご質問にお答えします。

 まず、自家発電装置等の周知の取り組みと実績についてのお尋ねですが、

 日常生活用具給付事業における発電機、蓄電器等の追加については、対象となる医療的ケア児全員への周知を行いました。現時点で給付実績はございませんが、2名の方が申請手続きを行っております。

 次に、医療的ケア児のいる家族に対するニーズ調査の活用についてのお尋ねですが、

 区内在住の医療的ケア児とその家族を対象として、生活状況や支援ニーズを把握するための調査を実施し、現在、結果のとりまとめを行っているところです。
 この調査により、医療的ケア児とその家族の支援における課題を把握し、今後の施策や支援体制の構築に反映させてまいります。

 次に、医療的ケア児の放課後の居場所についてのお尋ねですが、

 児童発達支援センターの放課後等デイサービスでは、医療的ケア児が、安全で専門的な療育を受けられるよう、本年度中の利用開始を目指し、現在準備を進めているところです。
 ご指摘のとおり、区内には医療的ケア児を受け入れ可能な放課後等デイサービスの事業所はほかになく、大きな課題であると認識しております。
民間事業者に対しては、主に重症心身障害児や医療的ケア児を受け入れる障害児通所支援事業所を対象として、施設整備費や、家賃の初期費用等についての補助制度を設けており、その周知を図ることにより、施設開設を促し、必要な支援を受けられる環境整備に努めてまいります。

 次に、人工呼吸器を使用する児童の入園・入学に係る支援体制の構築及び相談体制の強化についてのお尋ねですが、

 区では、昨年度より、関係機関及び外部有識者や民間団体相互の緊密な連携を図るため医療的ケア児支援連絡会を立ち上げ、情報共有等を行っているところです。
 区立学校においては、受け入れ体制の整備を進め、本年度、医療的ケア児が区立小学校に入学しております。
 人工呼吸器管理が必要な児童等の受け入れ実績は、現時点では区立学校のほか、区内の保育園、障害児通所支援事業所等においてもございませんが、保育園の入園については、昨年度開催した医療的ケア判定会において、対象児童を受け入れるにあたり、人員体制の整備や緊急時の対応等、十分な準備が必要であるとの意見があったため、本年度新たにPTを設置し、検討を行っているところです。
 今後も、関係機関等との緊密な連携と相互の情報共有を図り、医療的ケア児受け入れ体制の整備を進めてまいります。
 なお、都の医療的ケア児支援センターが開設される場合には、都との連携体制の構築も進めてまいります。
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