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議会報告 

令和4年9月定例会議一般質問

公明党文京区議団
代表質問 
宮本 伸一

QQ 質問

学校に行けない子ども達への支援について

 次に、学校に行けない子ども達への支援についてお伺いします。

 文部科学省の調査によると、不登校の小中学生数は20年度、全国で19万6127人に上り、全体の2%を越え、8年連続で増加しており、17年度からは過去最多を更新し続けております。

 文部科学省は6月、不登校の児童生徒に対する支援策を検討してきた有識者会議の提言をまとめ、発表しました。それによるとオンラインを活用した学習支援や相談体制の整備のほか、柔軟なカリキュラムを組める「不登校特例校」の設置を促しており、特例校は、2017年度施行の教育機会確保法で、国や自治体による設置が努力義務とされました。子供の意欲や学習の遅れなどに合わせて指導や相談を行い、基礎学習の定着や自己肯定感の向上などが期待されております。

 東京都八王子市の市立高尾山学園は、統廃合で使われなくなった小学校を改修し、2004年に開設されました。同学園に入学できるのは八王子市内に居住し、年間30日以上欠席している不登校の小中学生が対象で、様々な理由で傷つき、学校に行きたくても行けなくなった児童生徒に寄り添う工夫がちりばめられております。特徴的なのは自由に授業を抜け出しOKという独自ルールであります。「今日はつらいな」といった場合は、卓球台やカードゲーム、漫画などをそろえた「プレイルーム」やスクールカウンセラーらが常駐する「相談室」などの居場所で過ごせることであります。

 逆に先生たちは打倒プレイルームを合い言葉に、子どものたちが授業に出席したくなるような工夫を凝らし取り組んでおります。それぞれのペースで学習を進められるよう、少人数教育とサポートの体制を整えながら進めております。現在、小学生9人、中学生86人の計95人が在籍しており、児童生徒の登校率は全体の平均約7割で卒業生の進学率は、民間のサポート校や専修学校も含めて95%超に上っております。

 こうした「特例校」は、文部科学省の指定を受けており、授業時間やカリキュラムなどを柔軟に調整できることにより、個別最適な学びの推進を行っております。誰一人置き去りにされない教育環境の整備に向け、特例校の設置へ向け取り組むべきと思いますが区の見解をお伺いします。

 また、今回、文教委員会が7月に視察した広島県教育委員会が実施している東広島市にある教育センターの機能を強化し、オンラインと来室を組み合わせた学習支援教室「スクールエス」では、対面とオンラインの両面から、個々の状況や特性に合った支援を展開し、県内全域の小中学生が利用でき、個別の時間割に沿って学べる居場所を提供しております。

 本区ではこれまで不登校への対応力強化の取り組みを様々に実施してまいりましたが、他自治体での新たな取り組みを参考にしながら、学校に行けない子ども達への支援を強化していくべきと考えます。区の見解をお伺いします。

 学校現場では、コロナ対策など様々な負担が重ねっており、働き方改革も進んでいますので、民間の取り組みを活用することが有効と考えます。発達障がいやHSCもしくはグレーゾーンの子ども達のカウンセリングと勉強の指導を行っている民間事業者や、アウトリーチを特徴して不登校を支援する民間事業者もあります。こうした民間事業者等との連携を強化するなどの取り組みが有効と考えます。区の見解をお伺いします。

AA 答弁

区長  はじめに、学校に行けない子ども達への支援に関するいくつかのご質問にお答えします。

 まず、不登校特例校の設置についてのお尋ねですが、

 不登校特例校では、学校教育法に基づく学校として、柔軟な教育課程を編成することが可能であり、計画的かつ確実な学力保障により、一定程度の教育水準を保つことができるとされております。
 また、地方公共団体が設置する教育支援センターや民間団体等とも連携を図ることで、基礎学力の定着や社会性の育成、自己肯定感の向上のほか、進学にも良い影響を与えることが期待できるとされています。
 しかしながら、不登校特例校の設置については、文部科学省の定める学校設置基準に基づく施設整備が必要になる等の課題があるため、国の手引きや先行する他自治体の事例等も参考にしながら、研究を進めてまいります。

 次に、支援の強化についてのお尋ねですが、

 不登校となっている児童・生徒の数は依然増加傾向にあり、その要因は多岐にわたることから、支援の強化が重要と認識しております。
 そのため、本年度は、スクールソーシャルワーカーの増員やふれあい教室の対象学年の拡大を行い、支援の強化を図っております。また、他自治体の取組も参考にしながら、学校内の居場所づくりについても検討を進めているところです。
 今後とも、相談体制の拡充や教育機会の多様化などについて、様々な角度から検討し、不登校児童・生徒を支援してまいります。

 次に、民間事業者と連携した取組についてのお尋ねですが、

 不登校になっている児童・生徒、一人一人の状況に応じた適切な支援を行うためには、民間事業者等がもつノウハウを有効に活用することが肝要と考えております。
 現在、ふれあい教室では民間事業者と連携したソーシャルスキルトレーニング等を実施しておりますが、不登校の児童・生徒の置かれた状況やニーズを踏まえながら、さらなる民間事業者等との連携について検討してまいります。
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